« 富士見ファンタジア文庫『蒼井葉留の正しい日本語 2』 | トップページ | このラノ2015投票 »

ファミ通文庫『陸と千星 ~世界を配る少年と別荘の少女』

月刊野村美月、6月担当の1冊。

長くお蔵入りしていたらしい原点となる青春純愛モノです。

新聞配達の少年と深窓のお嬢様が、ただひと夏、出会って別れるお話。

ただ出会って一目ぼれして、相手の事を想い合う。
それだけのお話なんですが、この「想い合う」ってのが、
ひたすら野村美月作品だなぁ! という感じです。

地味だと言われれば、確かにその通りなんでしょうが、
そのシンプルさがすごく心地いい。
恋愛小説に必要なモノの神髄だけを読んでいる、そんな妙な理解感に浸れます。

しかし、この二人の間にあるモノを何と呼ぶべきなのかは、非常に難しいです。

母子家庭で、その母親も遊びに行って戻ってこない陸は、
別荘に住むお嬢様は温かい家庭に育ったのだろうと思い。
両親が不仲なために、一人別荘で過ごしている千星は、
新聞配達をしている少年は、愛を持って家庭を支える立派な人だと思い。

このすれ違いの妄想を逞しくする事によって、自分は不幸でも
相手が幸せだから大丈夫という、根拠のない支えになっている。

どこかの時点でこの勘違いは解けるのかと思っていたのですが、
最後の最後までそのままだったので、故にこそ野村美月作品の原点だという
話にさらに納得する訳です。

ただひたすら綺麗な思いを描く中に、こうやって現実的な毒さを
仕込んでいくのがスタイルですよね。
結果として、どんなに王道でも最後まで油断が出来ないハラハラ感と
共に読めて、さらには読後にウンウンと唸らされる。

ヒカルだとあんまりないですが、“文学少女”の初めの頃とか、
そんなだったなぁ、と懐かしい気分です。

それでは、また。


関連

“空蝉” ヒカルが地球にいたころ…… 7

“朝顔” ヒカルが地球にいたころ…… 6

半熟作家と“文学少女”な編集者

|

« 富士見ファンタジア文庫『蒼井葉留の正しい日本語 2』 | トップページ | このラノ2015投票 »

03_ファミ通文庫」カテゴリの記事

アニメ・コミック」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/222518/60428595

この記事へのトラックバック一覧です: ファミ通文庫『陸と千星 ~世界を配る少年と別荘の少女』:

« 富士見ファンタジア文庫『蒼井葉留の正しい日本語 2』 | トップページ | このラノ2015投票 »