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メディアワークス文庫『源氏 物の怪語り』

渡瀬草一郎先生の平安怪奇譚。

源氏物語の作者、紫式部さんをメインに据えて、
陰陽ノ京とはちょっと違ったテイストの「物の怪語り」です。

魑魅魍魎が跳梁跋扈する平安京の、とある一年。四季一巡。
娘に取り憑いた死んだはずの姉と藤式部の交流、
そして藤式部の後輩、同僚、主人、先輩からの4つの相談事の物語。

まぁ、だいたい陰陽ノ京と言って差し支えない感じのお話ですけど、
やはり藤式部と女房達が登場人物という事で、雰囲気がだいぶ違いました。

怪しも名のある大妖ではなく、人の心のちょっとした黒い部分、程度で、
妖怪退治というよりは、人生相談。ちょっと古風な人間ドラマです。

最初の話である『春の櫻』の冒頭辺りは、夜に浮かぶ桜と、落ちてくる蜘蛛の
2つのギミックから、ものすごーく甲田学人さんを連想して、
あ、これヤバい……怖くて眠れなくなるぞ……とか、思っていたのですが、
まんま「正体見たり」なお話で一安心。

その後の夏、秋、冬は、そもそも妖怪っぽいのが出て来ない。
逆に安心して何が正体なのかを推察するべく、頭フル回転で
結局眠れなくなる始末でした。

甲田学人さんを連想したもう一つの理由として、娘に取り憑いた姉、
というのがありますな。
断章のグリムの時槻姉妹と違って、こっちは姉妹仲も良く、姉だか親だか
分からんくらいなので、似てるのは取り憑き設定くらいですけど。

まぁ、でも、藤式部さんの妹としての顔と、母親としての顔が、
混在しているのは、相当なギャップで非常にウマい設定になっていました。

あとは、平安の歌人の世界という事で、たびたび挟まる和歌
これまた雅やかでして、良かったです。

学生の頃、百人一首なんかで意味も分からず暗記したりしたもんですが、
こんな意味で、深く読み解けるんですね。ホント損してたなーと、しみじみ。
今、学生さんの人にはぜひ読んでほしいですな。

最後の方が若干、駆け足……というか、ちょっと掟破りになってますが、
これはこれでご愛嬌ですかね。なんとなく学生さん向け、と言う気がします。

それでは、また。


関連

陰陽ノ京 月風譚2 雪逢の狼

陰陽ノ京 月風譚 黒方の鬼

輪環の魔導師 10

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