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電撃文庫『夜魔 -奇-』

電撃のホラー作家として、数々の電撃読者にトラウマを植え付ける
甲田学人先生の原点。

ハードカバー版の文庫化みたいな感じですが、書き下ろしもあって、
MW文庫と電撃文庫での2分冊。

『Missing』って、もう10年前なのか…。
それでも、トラウマ掘り起こされそう。

Missingにも出てきた魔女さんと魔人も関わって来る、
現実に現れた異界のお話。

SAN値が下がること請け合いの、見るべきものでない物オンパレード。

それも、想像もつかない見えないモノをあるとするんじゃなしに、
何だかそう見えそうなものを魅せるのがうま過ぎる。

幻想的なお話がこの『奇』に入っているそうですが、
……うん、血の色をして幻想的とするのは、私はどーかと思う。

●罪科釣人奇譚
水中でなく、水面の向こう側。果ては瞳の中を泳ぐ“魚”を釣り上げる話。

最原点だそうで、ほんの少し他の話とは毛色が違うかもしれない。
社会人視点だし、魔人さんが出張りまくりだし。

他の話も割とそうだけど、犯罪者心理のお話なので、
理解すればいいのか、出来なくていいのかという迷いが。
いわゆる深淵を覗きこむものはまた問題。

この人のなかでは、こんなにも重大事であるのに、
他の人から見るとタダの猟奇犯罪でしたっていう。

この話だけはさらなる深淵に覗きこまれて破滅っていう、
罰が用意されてるだけ、まだマシ……なのかな。

詠子さんマジ災難。

●薄刃奇譚
リスカなお話。いじめよくない。

気付いてほしくてなのか、何かを壊したくてなのかよく分からない、
そんな、リストカットの動機的なところがとんでもなくエグい。

実際こういういじめがあるのかな、あるんだろうな…。
という辺りも、実に心をえぐる。何が面白いのかのぅ…いじめって。

まー、一番痛いのは動機うんぬんじゃなくて、
リストカット描写の痛さなんですけどね!
惨劇始まらなくても十二分に痛いぜ……。

詠子さんマジ傍観者。

●魂蟲奇譚
蟲袋なお話。

生理的嫌悪感ってのはどうしようもないよね、というか。
潔癖症の心理というとちょっと分かるかもしれない。

虫っぽい。そんなはずない。だけどやっぱり。そうにちがいない。
というパニックになっていく描写がマジ鬼。

皮膚の下にうんぬんも大概ヤバい感じだけど、
電車の中の人が振り向いたらみんな……なんてのを想像したらもうね。

この本の中で、一番救いが無くて泣きたい。幼馴染みちゃんェ…。

詠子さんマジ過去の人。

●桜下奇譚
子をさらう桜のお話。表題…ではないけど表紙の話。

桜の花びらに恐怖する、という新しい価値観が興味深い。
桜の華やかなイメージがまさに一転。なにそれこわい!

今、日本で桜並木なんか普通すぎて、花びらないところなんてないじゃん!

しかしソメイヨシノが接ぎ木でしか増えないってのは初めて知った。
じゃあ、本当にあの花は咲いて散るだけなんだ…。

そのまま百年も生きたら……確かに化けてもおかしくないかも。
というリアリティがまた怖い。

そんな同情を誘いつつ、だが許さない! という奮起で、
キャラを動かしていく構図は上手い感じでした。

詠子さんマジろりっ子。

●現魔女奇譚
おはよう、なお話。

あるいは結局、詠子さんなんなのよ? っていうお話というか。
まぁ、最後のこれを読んでもさっぱりだとは思うけど。

「みんな仲良く」が、とんでもない重さを持っていて涙目。
ここからMissingにつながるわけですな。おお…。

それでは、また。


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