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メディアワークス文庫『六百六十円の事情』

アニメに映画に今ノリノリの入間人間氏の短編群像劇。

地域のネット掲示板に書かれた「カツ丼は作れますか?」の書き込みから始まる、
小学生、高校生、大学生、ニート、そしておじいちゃんの物語。

どこにでもいそうな、とある街の住人達が、
それぞれの日常に疑問を抱き、なんだかんだで自己解決するお話。

高校生のラブラブっぷりや、大学生の焦燥感やらが、
とても入間人間節の効いた青春話で良かった。

それぞれの視点からそれぞれの事件(?)が語られ、
最後にまとまる感じ……といえば、そんな感じだけども、
相互に関わったから解決したか、というと単に自己解決してるあたり、
群像劇としては微妙な気もする。

●While my guitar gently weeps
駅前の謎のギター弾き女ことギアッチョさんのお話。

大学生という最後のさなぎ期間の終わりを迎え
「なにがしたいのか?」に悩む話。
まー、ギアッチョさんこと由岐は大学生ではないんだけど。

一方的に相方の言う事が正論で、目をそらしてる由岐が悪い。
現実から目をそむけんなー! と、ただそれだけの話なのだけど、
それに気付くまでの葛藤がなかなか。

逆切れで爆発してからの暴走も、まったくの無意味で、
しかしそこから気付きを得るという、実に青春なお話でした。

畑のオッサンがすげいカッコいい。
二十代の女性が道端で倒れてるからって、引きずって自分の土地に放りこむなんて、
なかなか出来ることじゃない。

そして何気に、相方の名前が「丹羽静」で、
どこぞの青春男の親戚っぽい感じで、この世界もあの世界なのか!
という入間ワールドをつなぐ重要な描写が。

●生きてるだけで、恋。
童貞高校生こと、河崎さんのお話。

ぼんやりした学生生活に飽き飽きしつつ、何をするでもないという、
いわゆる普通のオトコノコな訳ですが、恋が奴を変えるという普通のコイバナ。

「アンタ、私の胸見てたでしょ」とか言われちゃう学生生活って、
薔薇色じゃないでしょうか? くそー、乳繰り合いやがって!

この周りの見えて無さ加減が実にヤバい。とてもごちそうさまでした。

しかし、顔なじみの本屋で万引き常習ってのが、個人的に許せない。
とはいえ、清算してるし、そのギミックで話が膨らんでるから良いか、なぁ…。

●パタパタパタ
家出小学生こと、ドミノさん(偽)のお話。

親が、カツ丼、ヤキソバ、チャーハンの三種類しかご飯を作ってくれなくて、
しかも一日のメニューは同じものという、恐ろしい食生活に嫌気がさし、
ついには家出検討中という、無力な小学生の事情。

しかも、家出仲間であったはずの男の子は、土壇場で家出を取りやめるという、
裏切り行為にも出会い、いろいろお疲れ気味です。

文句を言いたいのに言えない、という無力感がなんとも言えない気分にさせる。

しかし、その辺の鬱憤晴らしにプールダイブって辺りが可愛い。
やっぱやってみたいモノとして共通概念なのかしら。プールダイブ。

●愛とか祈りとか
ニートこと、各務原雅明さんのお話。

大学時代にバイトで稼いだ金でニート暮らし。
何もしないで日課の散歩をしつつ、よしなしごとをつらつら考える生活。

なにその引退生活。うらやましか。
しかも同棲してるわけで、同棲相手もニート。

この人自体がかなりの楽観野郎なので、いろいろ考えつつも実は悩んでなさげ。
答えを出そうとしてないというか、既に答えが出てるというか。

他の人の中継点的なお話かな。

●老人と家
「カツ丼は作れますか?」のトピ主。
老いていろんなモノに隔絶され、なんだかなぁ…な生活をしてるおじいさんのお話。

あとはまぁ、家出少女の解決編ということで。

老境を想像するのは、まったく実感わかないのと、ちょっと怖いので、
そーなのかー、というに止めておくとして、
家出少女の扱いがこれでいいのかと。

「10日間の保護」ってのは、相手が相手だとやっぱり訴えられるのかしら。
世知辛い世の中だなぁ。そんな事を考えてしまう。

しかしカツ丼に飽きた少女に、カツ丼の作り方を教えるってのはどうなの。
それこそ、ベーコンエッグから教えればいいのでは。
ま、描写端折っただけかもしれないけど。

最終的に、このおじいさんも娘さんからカツ丼出されるのだと思ったが、
そんなことなかった。ちょっと寂しい。

それでは、また。


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