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文藝春秋『橋をめぐる いつかのきみへ、いつかのぼくへ』

久しぶりの橋本紡さん新刊。
まぁ、間に文庫落ちで何冊か出てるんですけど。

別冊文藝春秋での連載まとめ。
深川周辺の「橋」を舞台に、
ちょっと人生に躓いてしまった人々の、優しい短編集。

いやー、良かった。

優しさが身に沁みたというか。
「橋本紡さんの作品を読もう」という目的に、
見事に合致した内容だったというか。

江東区深川の名前は知っているけれど、足を踏み入れたことは無く、
噂“だけ”かねがね、という私だったのですが、
「粋」な雰囲気がひしひし。

それと、裏テーマ的な感じはするのですが、
「一人で悩んでウジウジしても良い事無いな!」という雰囲気も良かった。

誰かに話して、それで問題がバッチリ解決する訳ではないけれど、
というか、問題についてはさっぱり前進していないけれども、
それでも何かが落ち着いた様な。そんな優しいところが好き。

そんな訳で、以下つらつらと。

■清洲橋
頭の固いガンコな親父の元を飛び出して、
意固地になってるOLさんの話。

反抗期って訳でもないですが、大人になってくると見えてくる、
親のよろしくない部分に反発する気持ちはすごい分かる。

…というか、分かりすぎて少々、刺激が強すぎる。
私にとっては、ですけど。

父親の一声、「誰が金を出すんだ」

これが…かなり、重いです…。

進学先とか就職先にまで口を出すような、
ここまでコテコテの人ではありませんですがね。

自分にとって禁忌な話題なので、ひどく悶々としました。

あと、弟君の良い子っぷりがスゴすぎる。
そりゃ、お姉ちゃんも惚れるってもんですよ。
花火の思い出忘れてるのは駄目ですが。
ま、覚えてて話を咲かせちゃったら、本格的にエ□ゲ展開が見えてきちゃうから、
これでいいのか。

■亥之堀橋
銀座で一番だったバーテンダーさんのお話。

50を過ぎた、渋いオジサマ臭がたまらない。
バーテンってのも、やばいです。

自身も色々悩みつつ、しかし町内の仲裁みたいな事をする話で、
あとはどうにでもな~れ~、と打ったバクチが見事にはまるというオチが良い。

いやでも人脈良いね。
仕事で集まる人、人柄に集まる人、酒に集まる人、料理に集まる人。

いろんな線引きがあるのが面白い。

■大富橋
大学受験を間近に控えた学生君が、昔馴染みと駄弁る話。

受験って何の意味があるんだろう。
…という話ですが、確かにその通りよね。

学校は良いと思うのです。いろんな教養を身に着けるってのは面白いから。
でも、それを試験する、その試験のために勉強するってのは、
今思うと、あんまり意味無いかもしらんですね。

まぁ、そうでもしないと勉強しなかった我が身であるので、
意味無いこと無いのかもしれませんが。

あともう一つ、勉強もいいけど、友達もね! という話でもあり。
何をしたら友達なんだろう、というのは永遠のテーマですな。

最期の時に集まってくれる人は、何を思っているのか。思うべきなのか。

人付き合いの巧くない私なので、ちょっと堪えたです。

■八幡橋
バツイチのお母さんが、男の人と会ったりする話。
唯一の書き下ろし。

受け止め切れなかった云々については、
どう慰めるべきかの正解が無い話なので、なんともモヤモヤしますな。
正論か嘘か、何も言わないべきか。

さておき、ここで考えるべきは翔太君のことだと思うのですが。
あんまり描写されてないので分かりませんが、
お母さん、それは良いのか?

母であり女でありって、分からんでもないですが。

お父さんとか、三崎さんとか、そちらの考えも無かったし、
ちょいと中途半端だったかも。

■まつぼっくり橋
新婚(予定)さんの新居探しのお話。

建築科卒のお兄さんが、実に辛い評価をして、
お家が決まらないとか、あるんですかねぇ。不動産屋さんが泣きそう。

会社の若い衆らしく、すごく清々しい青臭いオチになりましたが、
途中のその評価っぷりが面白くて仕方なかった。

芸術家気質のそういうこだわりは、見てるだけなら面白い。
嫁さん(予定)とまで近くにいると、どうだか分かりませんが。

■永代橋
地元民なお祖父ちゃんと、そこへ遊びに来た孫娘ちゃんのお話。

子のココロ親知らず。

って事で、両親がちょっと不仲な事に憤懣やるかたない千恵ちゃんが、
お祖父ちゃん、エンジと散歩して、下町風情に驚いたり、退屈したり、
友達が出来て、一緒に遊んだりする、
そんな様子を生暖かい目で見守っていたら、お父さんが迎えに来て一悶着。

そこで一言。

エンジかっこいいよエンジ!

何という神仲裁。頭良すぎる。

まったくどうでもいいが、エンジだったら、呼び方エン爺とかなると思う。
あだ名は良いけど、呼び捨ては駄目、
というそんな基準が自分の中にある事に気付いた。

それでは、また。


関連

九つの、物語

彩乃ちゃんのお告げ

橋本紡スペシャルエッセイ(電撃文庫MAGAZINE Vol.5)

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