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幻冬舎『阪急電車』

注目の越境作家、有川浩氏の新刊。
出版社を越えたのはこれが初めてかしら?

しかし、この「累計45万部突破!」のオビはちょっとズルいんじゃないかなぁ。
図書館戦争シリーズと下に書いてあるけど、この本が達成したような印象でしょう。
とか思ってたら、装画が徒花スクモさんだったぜ! 図書館チームかよ!

ま、いいや。売れれば。
読んで損するような内容では、決して無いと思う。

…というか、先に叫ばせて欲しいのですが、

あま~~~い!

自衛隊も怪獣も出てきませんが、その中でキラリと光る有川節。
それが、ベタ甘。

これはスゴい。
若人はベタベタに甘いし、お祖母ちゃんはカッコいいし、女子高生はカッコ可愛いし。
いや、実に「らしい」良い話でした。

という訳で。
大阪と神戸の間(?)にあるという沿線を舞台にした、行きずりの話。
片道15分という今津線の一駅ごとの短編エピソード。
パピルスに連載した分に加えて、書き下ろしで折り返し分って事ですが、
これは両方あわせて、編まれてますよね。

こういう擦れ違い話自体が大好物でもあるのですが、
それにしたって、良いキャラクター達でした。

妄想逞しい有川さんのキャラクターが見事に輝いてた。さすが。

誰も彼もがくっついていて、「俺の嫁」とか叫べませんが。くそー…。

後はこの短編具合が良い感じでした。
雑誌連載だったからかもしれませんが、1編が10ページちょいでスイスイ読める。
いや、でも、逆にこの短さでここまで輝けるキャラクターってのがスゴイのか…?

とか、ベタ褒めした所で、さらに長々と各話感想。
往復するのはアレなので、微妙にまとめますが。

・宝塚駅
言わずもがなですが、JRじゃなくて阪急の方で。
図書館と大学つながりのカップルの始まり。

恋の始まる瞬間を見た、という奴ですか?
釣りだって言うから、ちょっと違うっぽいですが。

始まりは「生」のエピソードだけですが、終わりでベタベタ甘々出来ます。ご安心を。
こういうのを読むと、見てみたかったなぁ「生」って思いますな。
面白おかしく見るもんじゃなさそうですけど。

あとは、お酒を美味しく呑んでみたいなぁ、とか。
高知の酒豪の話ってどこかで聞いたなぁ…あれ『空の中』かな?

・宝塚南口駅
打って変わって、情念渦巻く呪いの話。ホロリもあるよ。

事後って事で、さっぱりしてはいるんですが呪いの有り方としては、
実に正しい気がする。
鉄輪とか付けちゃうと、やっぱり重過ぎですよね。

正直、我が身には縁の無さそうな話で、ポカンとしたという感想なのですが、
でもホロリと来られちゃうと、ホロリと来る。

さっぱりしてたら呪いにならないもんね、とか矛盾した事を言ってみる。
でも折り返し後できっぱりさっぱりしてて良かった。

・逆瀬川駅
年の功でカルマ+50くらいありそうな、実にカッコいいお祖母ちゃんの話。
車輌内のいろんな人を諭します。

しかし、これはお孫さんに厳しい、というレベルじゃないよなぁ、
とか思っていたら、折り返し後で納得の行く事実が発覚。

それなら、この反応は正しい。カッコいい! 惚れた!

お孫さんも我が侭盛りな所を、ギリギリな線でぐずらなくて、
鬱陶しさが無い。気持ち良い。

・小林駅
行きは先の呪いOLさんが立ち上がる話。
しかし、この話の中では降り立ってみたい駅NO.1の話。

まぁ、住んでみたら良いところだよ、って事なので、
観光するような感じでは無さそうですが、機会があったら見てみたいなぁ。

折り返しの話では、OLさんがさらにカッコよくなっていて、
どうしても某柴崎っぽく見えちゃうんですが、
それは置いといて、幼いながらも女の戦い…らしい。

ホロリと来そうにもなりましたが、多分、本質は理解できてないんだろうなぁ。
だって、女の戦いだし。

・仁川駅
バカップルと見せかけて、破局の話。

いくらなんでも男があまりにアレ過ぎるので、
女もなんでこんなのと付き合ってんだ、バカだなぁ、という感想を抱く直前で、
いろいろ吐露があって、なんとも複雑な思いにさせられます。

とりあえず、結婚式に白がタブーな事は知りませんでした。ごめんなさい。

こういう事は男は疎いのかなぁ、とか思った瞬間、
お前、自分を男のスタンダードにすんなよ、バカだなぁ、
と思い至って勝手に凹んだりもします。私は元気です。

ここではなんだかグズグズしてるんですが、
折り返しになると、結構きっぱりとやっちまうらしくて、カッコよさが見えてきます。

というか、なんか兄ちゃんがカッコよすぎて涙出てきたんですが。
いや、嘘です。女の友情の方です。

・甲東園駅
しっかり者の女子高生と、アホな社会人のアンバランスなカップル…
と言うと、実は有川さん的には大得意な気がしてきた。
『塩の街』でも『海の底』でもやってるしねぇ。

アホさ加減でしっかり者さんを上げて、
大人と子供という社会的立場で落とすという。

自棄っぱちな女子高生可愛いよ女子高生。
私も一番上ですが、あんまりお金とか考えなかったなぁ…。

そしてやっぱりアホでも社会人カッコ良いよ社会人。
アホさ加減が結構、半端無かったので心配だったんですが。さすが。

・門戸厄神駅
今、私に厄と言ったら、く~る~く~る~しか思い浮かばないのですが、
それは余談なんで、どうでもいいっす。

ウブな…でも大学生カップルの誕生話。
何この田舎臭。わらびって。

それなのにパンクなって。どんなだよ!
たこ焼き屋デートも十分に甘いですが、折り返しのおかゆ話の甘さ加減がスゲェ!
おかゆを失敗するという理屈が良く分からんですが、
こんな甘い話が聞けるならどうでもいいよ!

若いって良いなぁ…。

・西宮北口駅
折り返し前は、おそらく連載の最後の話でしょうから、
なんかまとめ入ってます。

出てきたいろんな人が、微妙なすれ違いをしてます。
いいね、このすれ違いっぷりが良い。
知らない人でも助けてくれる、まだまだ人間社会は捨てたモンじゃないみたいな。

折り返し後は、時間軸的には1ヶ月後。
いろいろ解決して成長した人たちがカッコいいのです。

あと、微妙におばちゃんズの話が。
おばちゃんの近所付き合いによるストレス。
これも正直ピンと来ないっちゃ、ピンと来ないんですけどね。

でもやっぱり立ち上がる姿はカッコいいので困る。
叫びたくなりますからね。時間とか気にせず。

ごちそうさまでした!

それでは、また。


関連

図書館革命

フリーター、家を買う。

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